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職責と心構え

分団指揮者としての職責と心構え対象者:本庄方面隊役員(班長以上)

消防団は、地域住民の最も身近な防災機関であり、消防活動をはじめ各種の予防警戒活動及び防災指導などに大きな期待が寄せられています。しかし、消防団の組織は、普段はそれぞれが生業を営んでいる者で構成される組織であることから、それだけに組織管理は極めて難しいと言えます。また、消防の任務は消防組織法第1条で「消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害による被害を軽減することを任務とする。」と定められているとおり、消防団員の災害活動力を高めるとともに施設及び装備等の管理も行わなければなりません。
消防団の幹部は、これらのことを常に念頭におき、組織の目的達成に努めなければなりません。

1 組織管理

(1) 組織力の維持向上

災害による被害は、初期対応のいかんにより大きく左右されることは言うまでもありませんが、これはいかに迅速に消防団の活動組織を立ち上がらせるかにかかっています。このためには、連絡体制の確保、装備等の点検整備及び教育訓練等が不可欠ですが、これらを実践する優秀な人材の確保がもっとも重要です。したがって、幹部として部下を指導育成するなど、後継者づくりにも配意しなければなりません。

(2) 規律の保持

規律は、組織が一体性を保持し、その目的を達成するために必要なものです。特に消防活動のように、混乱し不安定な状況下において一元化した指揮のもとで緊急な活動をする場合には、厳正な規律の保持が不可欠です。したがって、普段の消防団活動においても幹部が率先して自己統制を行い、自己を厳しく律する姿勢を示すことが、信頼関係を増すとともに規律ある統率された組織づくりにつながることになります。

2 現場管理

消防活動を円滑かつ効率的に実施して被害の軽減を図るには、精強な部隊づくり及び地域特性や対象物に応じた計画等をはじめ、情報の管理、安全管理等を含めた、総合的な現場管理に配意しなければなりません。

(1) 部隊管理

指揮者の示した方針が、適正かつ円滑に遂行されるためには、地域の特性を踏まえた活動計画の作成及びその計画を実践できる能力を有する部下を育成しておく必要があります。また、災害現場は、人命危険、拡大危険、活動危険、二次災害の発生危険等消防活動上極めて困難な環境下にあり、部隊及び部下を安全に活動させるためには、幹部が活動環境を十分把握した上で危険要素等を周知徹底し、適切な指導の下に管理する必要があります。

(2) 情報管理

災害現場において的確に任務を遂行するためには、情報の収集・整理・分析が必要であり、その項目としては、災害種別により異なるものの、火災を例にとればおおむね次のとおりです。

(ア) 所在、構造、階層、用途、出動団員、出動車両と資機材等

(イ) 火点、延焼等の状況、避難状況等

(ウ) 逃げ遅れ、けが人、場所人数等

(エ) 落下物、危険物、変電設備、倒壊等作業危険

(オ) 気象、火元建物、周囲建物等の延焼拡大危険

これらの情報を所有者、管理者、居住者などの関係者等から聴取し、効果的に消防活動に反映させることが大切であり、また、知り得た情報の中にプライバシーや人権に関わるものなどがある場合は、その取扱いに配意しなければなりません。

(3) 安全管理

消防活動は、極めて危険の高い災害現場において、迅速性、確実性が要求され、かつ過酷な行動が強いられることとなり、部下の安全確保に特に配意しなければなりません。また、安全確保の基本は自己にあることを部下に認識させておくことも幹部として重要な努めです。安全管理は、任務遂行を前提とする積極的行動対策であり、安全を無視しては、消防の目的達成はないといえます。

3 指揮能力

(1) 決断

災害がこれからどのように推移していくかをまず予測したうえで、無駄や犠牲のない消防活動を行うためには、どの戦術をとり、どのくらいの隊を投入し、それぞれの団員をどこまで進入させるかなど、各級指揮者(団長、副団長、分団長、副分団長、部長等)の責任に応じた適切な決断が、消防活動の成否を決定します。時機を失すると、消防活動の失敗のみならず、莫大な犠牲さえ伴うことがあります。

(2) 包容力

災害現場において、団員の士気をさらに高め、有機的な活動を維持するためには、部下団員の「この指揮者と一緒に活動しよう。」という意欲を高めることが必要です。平素から部下団員に強い関心を払い、上司への信頼感が高まるよう自己を律し、消防団活動の成果を部下団員とともに味わうなど、一体感の醸成が必要となります。

4 的確な判断力

(1) 地域の消防環境の熟知

いつ、どこで、何がどうなっているかによって消防活動は大きく変わります。したがって、発災場所の地理、水利、対象物などをよく知っていることは、消防活動の大部分を成功させたも同然といえます。指導者たる者は、消防活動を行ううえで問題となる要素を含む地域、対象物等について関心を払い、事前に調査し、実態を把握しておく努力が必要です。

(2) 高い技術、深い知識

指揮者は、自身が消防活動の知識・技術に通じておくことが必要です。そのため火災、風水害、地震等の知識を高めておくとともに、これらの災害を想定した対処方法等のイメージトレーニングは効果的といえます。特に、発災頻度の高い火災への対応として、ポンプ運用、燃焼実体別の消火方法等の技術については、少なくとも部下団員と同等またはそれ以上に身につけておきましょう。自信のある指揮活動が展開できるようにするため、常に知識や技術の修得に意欲を持つ必要があります。

(3) 災害事例への関心と的確な推測

内外の多くの災害事例に関心を持ち、特に災害が拡大した事例、その原因や活動が社会的問題をはらむものなどについての情報に注目するなど、資料収集に努め、知識を蓄えることが必要です。こうしたことが、活動中の災害が今後どのように進展するか、危険や問題がどこに潜んでいるかなどを的確に推測し、対応を見誤らないことに直結していることを知るべきであります。

(4) 情報の入手

災害は、刻々様相を変え、その都度活動の最重点が移り変っていく特性を持っています。各局面担当指揮者等からそれぞれの状況を報告させ、それを咀嚼して災害の全容を把握し即座に活動方針として下命するほか、必要な情報は直ちに上司等に報告して具体的な対策をとることが大切です。そのために、部下団員等からの情報を早く正確に入手するシステムを確立するとともに、平素から部隊内の良好なコミュニケーションを醸成しておくことも必要です。

5 強靭な気力・体力

(1) 不撓不屈の精神力

強い郷土愛で活動していても、消防力が劣勢で後退しなければならない時があるほか、活動の方針を下命しても、部下団員が従わない時もあります。そのような時でも、広い知識、豊かな経験に基づいた強い信念で、部隊の活動方針を貫き、全体として合理性のある消防活動を遂行しなければなりません。

(2) 動揺しない冷静さ

災害現場の喧騒の中でも、被災者の心情については理解をもって接する必要があります。しかし、いたずらに同情に走ったり、周囲の雰囲気や過大な情報に惑わされてはなりません。常に冷静で、場面ごとに合理的な判断力をもって安全で効率的な活動を行うよう努力すべきです。先人の言葉に「方針に迷ったら、火事場をひとまわり」という言葉がありますが、味わい深い意味を持っています。

(3) 過酷な活動に耐え得る体力

特殊な災害では、活動時間も長く、体力的に苦しくなる場合がままあります。部下団員に率先して消防団活動を行えるだけの体力の維持向上について、平素から努力する必要があります。

6 自己研さん

(1) 知識技術の修得と活用

科学技術の進歩や生活形態などの変化に伴い、災害の形態や要因も、複雑多様化しています。幹部は、平素から多くの知識と高い技術を求める姿勢を保ち自己研さんに努めるとともに、部下指導等に活用する必要があります。

(2) 安全への提言

安全について体験に基づく識見を持った幹部は、あらゆる機会をとらえ、こうした知識を住民に伝え、生活の安全性を向上させるとともに、関係機関に対して積極的に提言する姿勢を持たなければなりません。

安全管理の基本対象者:本庄方面隊役員(班長以上)

消防活動の対象となる災害現場は、通常の人が立ち入ることのない、極めて作業危険の高い非常事態が発生している状況に置かれている。このような状況下において、消防団員は地域住民の生命、身体、財産を守り、災害による被害を最小限度にとどめるという使命を有しており、それゆえにその活動は、緊急性や迅速性が求められるものである。こうした消防団員の災害現場の活動における安全管理は、目の前の被災者救出等の任務遂行の使命感と自身の安全管理との両立、バランスが求められるものであり、常に安全への高い意識と高度な判断力が必要とされるものである。そのため、消防団員の安全管理には適切なルール、状況判断、組織体制、管理者の姿勢、教育訓練等、多面的・総合的な取り組みが求められる。

1 安全管理

(1) 安全管理の意義

消防機関は、国民の生命、身体及び財産を災害から守るという任務を遂行するために災害現場に出動しています。
一方、災害現場では、危険要素が大量にある環境下で活動を実施しなければなりません。しかも、危険性や状況変化は著しく、安全限界ぎりぎりの線を行動限界としている実情です。ぎりぎりの線が具体的にどこなのか、その見極めが極めて困難であるため、指揮者も団員も常に安全に対する配慮と確認をしながら、任務を圧制しなければなりません。
 このように、消防における安全管理とは、危険性が伴う任務の遂行を前提とした消防活動を実施するにあたり、事故の絶無を期するため事故要因を合理的に除去するための一連の安全対策をいいます。言い換えれば、「安全管理は、それ自体が目的ではなく、任務遂行と両立の関係にあり、さらには任務遂行を前提とする積極的行動対策である。」と定義付けられます。積極的行動対策とは、効率的で安全な活動を行うための幅広い創意工夫のある対策をいいます。

(2) 安全管理の指向

安全管理は、安全意識を高めることが基本です。

事故が発生すると、本人の苦痛はもちろん、家族や上司、同僚に心配や迷惑、負担をかけるほか、場合によっては一定期間、仕事につけなくなることにもなります。このように、受傷事故は大きなマイナスを伴い、決してプラスになりません。
 さて、事故は偶然発生したものではなく、事故の背景には潜在的危険があったということが多くあります。また、事故には至らなかったが、ヒヤリとしたこと、ハッとしたことなどに目に向け、こうした要因を排除することが基本です。危険要因を排除するということは、裏返すと安全の先取りになります。潜在危険の排除には、まず危険に対する感覚、感受性を養い、危険を正しく予知、予測し、事前に必要な手を打つことであり、これが安全対策につながるものです。このような考え方が、安全管理の指向です。

2 災害現場の統制と危険性

災害は、当然のことながら、一件ごとにその様相が異なります。時間的経過によって事態が複雑に移り替わり、変化の度合いも一様ではありません。そこで、災害活動の安全管理を理解するうえで、その特性と危険性に目を向けると次のような事項があげられます。

(1) 拡大危険と対象物の不安定性

火災は、短時間のうちに急速に拡大し、危険の度合いもこれに比例して増大する特性があります。
火災にあった建物は、熱を受けたガラスの落下、壁や柱の倒壊・崩壊、床の抜け落ちなど、多かれ少なかれ何れかの被害を受けて、正常な状態や機能を失っていき、耐火建物は、煙や熱気が建物全体に広がり、たちまち危険要素を拡大していきます。平素は、全く安全と信じきっている建物が、火災によって不安全で状況変化も著しく、不安定なものとなり、すべて危険を前提として行動することが必要になります。

(2) 行動障害

火災現場では、普段は通行しないところを通り、登るべきでないところを上ったり、入るべきでないところから進入する等、平常の行動パターンと異なる行動を余儀なくされます。
 延焼拡大中の建物は、炎、煙、熱気が消防団員の屋内進入を阻むことになります。階段にはホースが延び、屋内は足の踏み場もないほど収容物が散乱してしまいます。
 このように、火災現場は常に混乱し、乱雑となるのが普通です。こうした障害を越えて消防の任務を達成しようとするところに危険性が潜在するのは当然と考えなければなりません。

(3) 異常心理

火災現場では、火災建物関係者はもちろん、指揮者であれ、消防団員であれ、平素の穏やかで物静かな精神状態でいられる人はいません。緊張や興奮で、声が大きくなったり、早口になったりして必要な意思の伝達が図りにくくなります。
そして、このような興奮した異常な心理状態にあると、冷静な思考力の減退につながり、それだけで安全に対する配慮に欠けて、危険性も高い状態といえます

(4) 疲労

火災現場の煙や熱の中で、苦しい長時間の活動に耐えるということは大変な忍耐力を必要とし、身体は極度に疲労します。
思考力は減退し、注意力も散漫になります。指揮者の管理も行き届かなくなりがちであり、疲労が増すと共に危険性は増大します。一般的には、極度の緊張や慌てた状態となる初動時と、疲労が蓄積し、緊張の緩む後半時に、事故の発生危険が高くなると言われています。

3 安全管理の実践

事故の発生についてよくみると、不安全な状態があったか、不安全な行動をしたか、またはこの双方が一緒になった場合に起きており、事故の背景にある潜在危険要因に目を向け、危険に対する感覚、感受性の向上を図ると共に、次のような危険要因の排除に努めなければなりません。

(1) 物的危険要因の予知

建物や施設、設備及び構造等に安全上不備欠陥があり、不安全な状態になるものを物的危険要因といい、災害現場においては、この物的危険要因が顕著です。物的危険要因があると、消防団員の安全行動とは関係なく事故発生の可能性があります。その対応策として、事前に危険を予知、予測し、危険に対する感受性を高め、事前に危険要因を排除することにより、相当の効果が期待できます。特に訓練においては、危険要因の排除に力を注ぎ、安全の万全に期さなければなりません。

(2) 環境的危険要因に対する配意

環境的危険要因としては、季節的な気象条件や天候に左右されることがまずあげられます。降雨、降雪、霧等に伴う路面の滑りや凍結や視界不良による危険性等です。また、現場付近の立地要件としては、路面の不整地、段差、勾配等の潜在危険も考えられます。さらに、火災の発生と同時に作り出される環境では、炎、煙、有毒ガス、停電による暗黒等の危険要因は、時間の推移によって著しく変化します。

(3) 人的危険要因の排除

災害現場の危険要因として、大きなウェイトを占めるのが、消防団員の不安全な行動あるいは行為によるものです。
人それぞれに性格、考え方が異なるように、安全か不安全かの行動をとるのも個人差があります。
 ある団員が危険な行動をとった場合、その団員は自分の判断に基づいて行動したものであり、指揮者からみればその行動が危険な行動にみえても、団員は危険を自覚していない場合が多く、不安全な行動をとるといった判断は、次のような場合があります。

(ア) 安全に対する知識がなかったり、認識が不足している。

(イ) 危険に対する感受性が不足している。

(ウ) 能力が不十分でやれない。または完全に発揮できない。

(エ) 知識や能力があってもやらない。

(オ) 意識が低下していてやれない。

災害現場において、安全な行動ができないということは、自ら危険要因を作り出し、事故を招くこととなります。
事故の原因として、よく“不注意”という理由をあげる場合があります。実際には、危険要因があることに気がつかなかったため、事故につながることが多くあります。不注意を起こさせる条件として、次の二点があげられます。

○肉体的条件(疲労、苦痛、病気、暑さ、寒さ等)

○精神的条件(喜怒哀楽、心配、悩み、気疲れ、過緊張、開放感、慣れ、迷い、不安、士気等)

こうした条件は、注意力、集中力などを散漫にさせ、事故に結びつきやすくなります。人の心理面からの危険要因については、ヒューマンエラー(不注意、錯誤、誤判断、誤操作、緊張弛緩、憶測判断及び省略行為等の人的過誤)として幅広くとらえる必要があると言われています。災害現場のように混乱した場所では、不安全行動とヒューマンエラーが相互に作用して事故に結びつくことが多くあります。

(4) 指揮者の責務

指揮者は、消防活動を効率的かつ安全に行うため、現場をよく確認して災害の推移とその環境を見極め、団員の安全確保に努めなければなりません。日常においては、活動訓練等を通じ安全教育の実施及び団員の技術と能力を把握することが必要であります。また、指揮者は、団員の行動の誤りや取扱いミスなどの不注意に起因する事故を防止するため、疲労等の肉体的な要因及び喜怒哀楽等の精神的な要因に配意し、状況に応じた適切な任務分担をするなど、安全管理の徹底を期さなければなりません。

(5) 自己管理の徹底

火災現場における安全確保の基本は、適正な自己管理です。消防団員個々は、消防活動に耐える体力、気力及び技術の練成に努め、常に事故の安全を確保する気概をもって、どんな事象にも対処できる臨機の判断力と行動力を養うよう努めなければなりません。そして、団員同士が相互の安全確保に努め、これを自覚することが現場の安全管理の基本でもあります。

災害対策基本法と消防団の役割対象者:本庄方面隊役員(班長以上)

国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とした「災害対策基本法」において、消防機関に関することとして、市町村長による消防機関などの整備や、消防機関等の相互協力について規定されています。

○災害対策基本法(抜粋)

第5条

(1) 市町村は、基本理念にのっとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。

(2) 市町村長は、前項の責務を遂行するために、消防機関、水防団その他の組織の整備並びに当該市町村の区域内の公共的団体その他の防災に関する組織及び自主防災組織の充実を図るほか、住民の自発的な防災活動の促進を図り、市町村の有する全ての機能を十分に発揮するよう努めなければならない。

(3) 消防機関、水防団その他市町村の機関は、その所掌事務を遂行するにあたっては、第1項に規定する市町村の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。

また、同法において、市町村長は、避難行動要支援者本人からの同意を得て、平常時から消防機関、民生委員等の避難支援等関係者に避難行動要支援者名簿の情報を提供することが規定されています。これにより、必要に応じ、市町村から消防団は当該名簿情報の提供を受け、避難支援を行うこととなります。

第49 条の11 第2項

市町村長は、災害の発生に備え、避難支援者等の実施に必要な限度で、地域防災計画の定めるところにより、消防機関、都道府県警察、民生委員法(昭和23 年法律第198 号)に定める民生委員、社会福祉法(昭和26 年法律第45 号)第109 条第1項に規定する市町村社会福祉協議会、自主防災組織その他の避難支援等の実施に携わる関係者(次項において「避難支援等関係者」という。)に対し、名簿情報を提供するものとする。ただし、当該市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、名簿情報を提供することについて本人(当該名簿情報によって識別される特定の個人をいう。次項において同じ。)の同意が得られない場合は、この限りではない。

第Ⅰ部 第2 4「避難支援等関係者への事前の名簿情報の提供」

避難行動要支援者名簿は平常時から避難支援等関係者に提供され、共有されていることで、いざというときの円滑かつ迅速な避難支援等の実施に結びつくため、市町村は避難行動要支援者の名簿情報について、あらかじめ避難支援等の実施に必要な限度で避難支援等関係者に提供することが求められる。

長期活動対策

大規模災害発生時は、活動が長期化することが想定されるため、団員の食糧、飲料水及び車両等の燃料の確保とともに、継続した活動における職員の健康安全を考慮した休憩や交替が必要となります。

長期活動に備えて留意すべき事項

食糧等の備蓄とともに、活動が長期継続した場合に必要な物資等を調達できるよう、事業所等との事前協定や協力体制の確立が重要です。また、活動時間に応じた団員の交替計画や休憩場所の確保等にも留意する必要があります。

【具体的に取るべき方策(例)】

(ア) 初動期の活動に必要な食糧等の備蓄

(イ) 食糧、燃料等の確保のための事業所等との連携体制に関する協定

(ウ) 団員の交替等による健康管理上必要な措置についての事前計画の策定

(エ) 団員家族の安否確認方法 など

惨事ストレス対象者:本庄方面隊役員(班長以上)

惨事ストレスとは

人間は何らかの外的要因により身体と同様に心にも様々な傷を負うことがあります。この心身に不快をもたらす要因をストレッサーと呼び、それが非常に強い場合には、心的な後遺症を残すことがあり、これを外的外傷(トラウマ)と呼びます。トラウマへの反応として、うつ状態やアルコール依存などのほか、急性ストレス障害(Acute Stress Disorder;ASD)や外傷後ストレス障害(Post-traumatic StressDisorder;PTSD)と呼ばれる症状が生じることがあります。ASDは、凄惨な状況や危険な状況に直面したことにより、感情の麻痺、現実感の消失及び注意力の減退などの強いストレス反応を生じ、その状態が2日から4週間持続する障害をいいます。PTSDは、ASDと同じ理由により強いストレス反応にさいなまれ、その状態が1 ヶ月以上持続する障害をいいます。消防団員等の災害救援者は、凄惨な災害現場活動に従事することで、被災者と同様に強い精神的ショックを強いられるほか、職業的責任等により忌避できない立場や身の危険が脅かされることがあるなど、一般の被災者とは異なる心理的影響を受けます。こうした状況下での心理的な負荷を「惨事ストレス」(Critical Incident Stress;CIS)と呼びます。

災害現場活動に伴うストレス

消防団員は、住民の生命、身体及び財産を災害から守るため、災害現場において消火、救助など様々な活動を行うことを任務としています。消防団員は、その任務の遂行上、災害現場の態様によっては、凄惨さ、恐怖、もどかしさ、悔恨、後悔、悲しさ、無力感、罪悪感、自己嫌悪など、様々な感情を抱くことがあります。そして、これらがストレスとなり、トラウマとして残ると考えられています。こうした惨事ストレスを受けると、身体、精神、情動または行動に様々な障害の発生や、さらにはPTSDなどの重い障害を引き起こすこともありえます。

ストレス反応の発生

惨事ストレスによるストレス反応は、災害現場活動直後から症状として現れ(ASD)、おおむね3ヶ月程度で治まってくるPTSD急性型、3ヶ月以上続くPTSD慢性型、6ヶ月以上経過して発症するPTSD遅発型などがある。
そして、その症状はASD、PTSD共通で、身体的、精神的、情動的、行動的反応の大きく4つに分類することができる。これらの症状は時間の経過とともに回復することがほとんどであるが、長引いたり、悪化したり、日常の生活に影響が出る場合があるので、初期の段階での対応が重要となります。

(1) 身体的反応

呼吸、心拍数の増加、頭痛、下痢、発汗、不眠、食欲減退、頻尿など

(2) 精神的反応

悪夢、入眠困難、想起困難、感情の麻痺、現実感の消失、注意力の減退、集中力の低下、侵入症状(忘れようとしていることが意に反して突然よみがえる)、フラッシュバック(災害のことが現実のように再びよみがえる)など

(3) 情動的反応

不安、恐怖心、おびえ、怒り、悲嘆、無力感、罪悪感、悔恨など

(4) 行動的反応

過度の活動性、落ち着きのなさ、深酒、過度の薬物使用(睡眠薬、精神安定剤、鎮痛剤等)など
 これらの反応は、特殊なものでも異常なものでもなく、誰でも起こるごく一般的な反応であり、消防団員であっても、災害現場での悲惨な体験によりストレスを感じることは特別なことでも恥でもなく、ごく自然なことです。そして、誰しもが感じることがあることを、正しく理解することが必要であり、これを何事もなかったように隠したり、平気を装ったりすることは、かえって状態を悪化させる恐れがあります。

惨事ストレスに対する正しい理解

ストレスを受けた団員の把握

惨事ストレスによるストレス反応は、普通は時間を経過することで軽くなり、次第に解消していくことが多いが、これが長引いたり、不安に感じたりするのであれば、専門機関や専門家に相談してください。
心の病はとりわけ客観的な判断を下すことが困難と言われており、またプライバシーの保護に対する配慮等、惨事ストレスを受けた団員の把握は容易ではなく、特に、常勤職の消防職員と異なり、生業を持つ非常勤職である消防団員の変化に気づくことは難しい面もあります。しかし、分団長・副分団長や部長・班長などは、団員が集まる機会(災害出動、訓練、会議あるいは研修など)をとらえ、積極的予見に努めることが必要です。
また、消防団員自らが希望するときに、誰にも知られることなく、心の変化などを確認できるような自己診断チェックリスト等も有効です。

相談窓口等

団員の変化に気づいた場合には、消防団本部、市町村(消防本部)の消防団担当部署とも連携し、必要により、消防職団員の健康管理担当部署(消防本部または首長部局)、保健所、都道府県・指定都市の精神保健福祉センターなどの協力(相談窓口)を得て対処することが望ましいです。
なお、団員自らが、ストレスに起因すると思われる自覚症状を訴えることには、かなりの抵抗が予想されます。したがって、相談窓口により紹介又はリストアップされた診療機関を日頃から団員に周知しておくことが望まれます。また、PTSDなどの症状が重症である場合は、専門診療機関での受診が必要となりますが、不眠や食欲不振により体重が減少している場合や、日常生活で不安を感じている場合など、軽症である場合には一般内科医での治療で回復することも多くあります。内科医での受診は、精神科医等の専門医療機関よりも気軽に受診できるので早期治療にもつながります。
必ずしも精神科医等にこだわる必要がないことも団員に周知しておきましょう。

【参考文献】
○消防団幹部実務必携
○消防団員教育訓練必携(東京都消防訓練所)
○消防団員等公務災害補償等実務の手引き
○東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会