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情報と無線運用

災害情報収集・伝達対象者:全団員

災害時の情報は全ての基礎であり、正確な情報を早期に把握することは、的確な消防団活動の展開のために不可欠です。限られた時間の中で多くの情報を収集し、災害の状況を予測しながら活動方針を決定して、消防団活動に当たらなければなりません。また、決定した活動方針及び活動危険等に係る情報を速やかに現場で活動するすべての消防団員に伝達し、徹底しなければなりません。このため、情報の共有化が徹底されるよう日頃から情報収集・伝達訓練を実施しましょう。

1 消防における情報活動

消防における情報活動とは、それぞれ断片的あるいは雑多な資料や内容を集約・整理し、検討や分析を経て活用できる段階まで引き上げることです。ここで重要なことは、能動的に情報を収集することであり、座して待っていても情報は入手できないものなのです。特に災害現場においては、時々刻々と変化する情報を適時に多角的かつ広範に入手することが重要であり、時機を失した情報は活用の場を失い無意味なものとなります。一分一秒を争う災害現場において、人命を救い災害の被害を抑えるためには、限られた時間の中で多くの情報を収集し、それを瞬時に分析整理し、災害の状況を予測しながら活動方針を決定して消防活動に当たらなければなりません。また、決定した活動方針及び活動危険等に係る情報を、速やかに現場で活動するすべての関係者に伝達し、徹底しなければなりません。このため、情報の収集・伝達手段については消防本部との連携はもとより常に複数の情報ルートを多元的・多重的に確保するよう十分に配意するとともに、情報の共有化が徹底されるよう日頃から情報収集・伝達訓練をしておく必要があります。

情報の性格と収集原則

(1)性格

①情報は実態からの信号である。

②情報は変質する。

(2)収集原則

(ア) 情報は自ら積極的に集めなければならない。

(イ) 情報は推測と誇張を避ける。

(ウ) 情報は重視する。ただし過信はしない。

(エ) 情報は流れやすいシステムにしておく必要がある。

(オ)情報は常備消防と共有化しておく必要がある。

災害活動上必要とする情報

災害現場において優先して収集すべき情報は、消防団員を含め、そこで活動する全ての作業員の作業危険に関わる情報、人命危険に関する情報、被害の拡大に関する情報の順に行うことを基本とします。なお、これらの情報は、気象条件も考慮した上で直ちに消防団本部等と情報の共有を図ります。

(1)活動初期

(ア) 常備消防到着の有無

(イ) 危険物の有無

(ウ) 危険個所の有無

(エ) 逃げ遅れ者の状況

(オ) 災害の推移の状況

(カ) 応援要請の有無

(2)活動中期

(ア) 前項の各種情報内容の追及

(イ) 避難状況の確認

(ウ) 被害拡大の予測

(エ) その他活動上必要とする事項

(3)活動後期

(ア) 被害の状況

(イ) 活動の困難性、危険性、長時間を要する場合はその状況

(ウ) 交通障害及び、公共施設への影響

2 情報の収集

視覚・臭覚・聴覚

情報手段のーつとして視覚、臭覚、聴覚等による収集手段がありますが、常日頃からそれを読みとる力を養っておくことが重要です。

(1)視覚

(ア) 被害状況

(イ) 作業危険の状況

(ウ) 近隣住民・避難住民の状況

(2)臭覚

(ア) 参集・出場途上における臭気

(イ) 危険物、劇・毒物等

(ウ) 災害現場の異常な臭気

(3)聴覚

(ア) 関係者からの情報

(イ) 爆発音等

(ウ) 本部及び関係機関からの情報

災害現場における聞き込み等

災害現場における聞き込み等は、到着と同時に実施します。時間が経過すればそれだけ関係者が現場から離れ情報収集が困難になります。

(1)関係者

(ア) 現場付近に寝間着、裸体、裸足でいる者

(イ) 衣類を焦がしたり、濡れていたり汚損したりしている者

(ウ) 取り乱している者、うずくまったり泣いたりしている者

(エ) 家財を抱えていたり、荷物を搬出したりしている者

(2)聞き込み要領

(ア) 関係者に対して消防団員であることを告げて相手を落ち着かせる。

(イ) 必ず相手の氏名、年齢、職業を聴取してメモする(記憶より記録に残す)

(ウ) 質問は一方的ではなく、言動に留意し相手の立場を考慮する。

情報源

災害現場では、大量の情報が交錯します。その中にはもちろん真実もありますが虚報もあります。不安や無責任な憶測からくる情報、何人かを経由しているうちに変質した情報もあります。情報の収集にあっては、必ず情報提供者の氏名や要救助者との関係を確認します。情報源のない情報は、根なし情報となり単なる「噂」に過ぎず、ややもすると無責任に増幅され変質されて活動に影響を及ぼすことにつながります。また、被災者は恐怖と不安で興奮状態にあるので、次のことに留意します。

(1) 被災者に対していたわりの気持ちをもって接する。

(2) 活動員が到着したことなどを知らせ、安心感を与える。

関係者

関係者がどのような人であるか確認します。

【関係者の例】

・建物所有者 ・自衛消防隊 ・居住者 ・防火管理者 ・客等・建物管理責任者 ・警備員 ・従業員 ・宿直責任者

災害が広域にわたる場合の情報収集

(1)情報収集手段

地震・風・水・雪災害等の自然災害は、広域にわたり、時間の経過とともに状況は変化し、また、気象等の急激な変化により様相が一変することもあります。これに伴い二次災害に巻き込まれる危険性が高いことから大雨時における上流域での降雨状況など災害現場以外の気象情報等にも注意し、危険予測や事前対策を検討しておくことが重要です。このため車載無線や携帯無線機を活用した情報の収集・伝達を徹底するほか、防災行政無線や次のようなメディア等を活用して災害活動や消防団員の安全の確保に関する情報を収集します。

ラジオ、TV、インターネット、SNS

(2)水害時における情報収集項目

(ア) 現在の雨量・水位等

(イ) 上流地域の雨量

(ウ) 今後の降雨に関する気象情報

(エ) 地形・地質の状況

(オ) 伏流水の状況

(カ) 住宅浸水等の地域の状況

(3)地震・津波時における情報収集項目

(ア) 地震の規模、震度の状況

(イ) 管内の緊急通報の状況

(ウ) 津波予測情報

(エ) 各地の被災状況(津波・火災・土砂崩れ・倒壊家屋・道路状況等)

(オ) 住民の避難状況

(カ) 避難ルートに関する情報

優先情報

作業危険

安全に直接関わる情報は、団員を各種危険作業から守るために極めて重要であり、これらの情報収集は指揮者の重大な使命でもあることから早期に関係者から次の項目を収集します。なお、これらの情報を得た場合、消防団員はむやみに進入することは避け、自身の安全管理に配慮するとともに、住民等の避難誘導や火気使用厳禁などの広報に努めます。

(1) 危険物(引火性、爆発性、禁水性、酸化性、反応性)

(2) 爆発物(高圧ガスボンベ、ドラム缶、スプレー缶)

(3) 電気(変電室、引き込み線、配線)

(4) ガスの漏洩(ガス種類、漏洩範囲)

(5) 建物の構造的な危険

人命危険(逃げ遅れ情報)

人命危険に関する情報は、正確なものが少ないが、どんな不確定情報であってもこの情報に限っては逃げ遅れた者がいるものとして考える必要があります。

(1) 情報のない場合は、逃げ遅れた者がいると考えて活動する。

(2) 一度避難した者が、戻る場合がある(避難先を調べ追跡確認する)

(3) 情報提供者はどの建物の者かを確認し、追跡を行う。

被害拡大危険

被害拡大に関しては、次のことに留意して情報収集にあたります。

(1) 各種災害は、地域の特性及び気象状況等によって被害の拡大が予想される。早期にその状況について収集する。

(2) 各場所で活動する消防団員は自らの周りで変化する危険兆候等の不審現象を把握できる立場にいる。不審な兆候を積極的に捉えて消防団本部等に報告するなど早期に情報の共有をはかる。

4 伝達手段

伝達手段

消防活動が最も効率的かつ効果的に実施されるよう必要な情報は、常に消防団員間で共有されていなければなりません。このため情報の伝達は極めて重要です。人命危険・作業危険・被害拡大危険については消防活動の成否に直結するとともに、安全の確保を図っていくためにはこれらが適宜、適切な時期に伝達されるよう留意しなければなりません。逃げ遅れ者を一刻も早く救出し、現場で活動するすべての関係者が危険にさらされることのないよう、必要な情報を共有するために多元的かつ多重的に情報の伝達手段及びルートを確保しておく必要があります。

(1) 通信手段による伝達(トランシーバー・無線機・車載無線機・携帯電話等)

(2) 伝令員による伝達

(3) 放送設備による伝達(車両積載マイク・屋外拡声器等)

通常の伝達手段が使用できない場合の対応

東日本大震災を教訓として、非常事態では無線機等を活用した双方向による伝達手段が使用できないことも予想されます。その際、防災行政無線やラジオ、携帯電話を活用して正確な情報収集に努めるとともに、危険を察知した場合は直ちに退避・避難等の情報を周囲に知らせる必要があります。通信機器が不能になった場合は次のような伝達手段が考えられます。

(1) 音による伝達(サイレン・半鐘・笛等)

(2) 光による伝達(懐中電灯・ヘッドライト等)

(3) 煙による伝達(発煙灯等)

(4) 伝令員による伝達

特定小電力トランシーバー運用マニュアル対象者:全団員

災害現場において優先して収集すべき情報は、消防団員を含め、そこで活動する全ての作業員の作業危険に関わる情報、人命危険に関する情報、被害の拡大に関する情報の順に行うことを基本とします。なお、これらの情報は、気象条件も考慮した上で直ちに方面隊本部等と情報の共有を図ります。

(目的)

この運用マニュアルは、消防団員の安全確保のために配備するトランシーバーの運用において、必要な事項を定めることを目的とする。

災害の最前線で活動する団員相互及び活動を指示する指揮命令系統からの情報伝達を確実に図るため、特定小電力トランシーバーによる双方向の情報伝達網を構築。

消防団現場指揮者は、常備消防の現場最高指揮者と連携を図り、消防団の活動方針を決定します。そして、分団長に活動を指示し、また、災害情報の伝達などを行います。
 分団長は消防団現場指揮者から受けた活動命令や災害情報をトランシーバーで各団員に伝達します。各団員は、トランシーバーを活用して情報を共有することにより、連携を密にして活動します。

(運用)

(1) 無線統制は、原則として方面隊で指定されたチャンネルに基づき、行うものとする。
ただし、混信時には分団長の指示によりチャンネルの変更を行うものとする。

(2) 方面隊長-分団長間、分団長-団員間での通信を原則とし、指揮命令系統の一元化に努める。
ただし、緊急の場合はこの限りではない。

無線ch

LINK⇒・特定省電力トランシーバーメーカー別チャンネル互換表

(通信要領)

(1) 無線通信は、簡潔でなければならない。

(2) 他の通信と混信する恐れがあるときは、その通信が終了した後に通信を開始する。ただし、緊急の場合は、この限りではない。

(3) 相手方の呼び出し

-1- 特定小電力トランシーバーを使用する際は、呼び出された相手が分かりやすいよう、個人名や班名などで呼び出す。

-2- デジタル簡易無線機を使用する場合は、定められた呼出名称で呼び出す。

(4) 通話

-1- 通話内容の頭切れを防ぐため、プレストークボタンを押してから1~2秒開けて通話を始める。

-2- 送信音声を明瞭にするため、ハンドマイクを口元から5cm程度離した位置で送信する。

-3- 通話速度は日常会話程度とし、音声は明瞭に歯切れよく話す。

-4- 簡潔明瞭に伝達するため、敬語・丁寧語及び不要な言葉は省略する。

-5- 正確に通話するため、送信内容に誤りがあった際は、即時に訂正する。

(5) 応答

-1- 開局中の無線機に呼出があった場合は、即時に応答する。

(6) 無線の操作

-1- 無線操作を行う際は、通話時以外に送信状態にならないよう、プレストークボタンの操作に注意する。

(7) 交信場所

-1- 建物内から無線交信する場合は、上層階で、かつ、交信相手に近い窓等から交信する。

-2- 車両走行中は、場所により送受信状態が変化するため良好な場所を選んで交信する。

-3- 屋外、屋内を問わず交信出来ない場合には、移動して交信場所を変えたり、立っている向きを変えることで交信可能になる場合がある。(例~窪地及び低地の場合、高い場所に移動する。交信相手の方に向きを変える。)

無線交信の留意事項
(1) 相手方の呼び出し
特定小電力トランシーバーを使用する際は、呼び出された相手が分かりやすいよう、個人名(名字+役職名○○1分団長)や班名などで呼び出す。○○から○○。
例…本部⇔分団長・坂口から矢野間1分団長
呼出しへの応答
「○○です。どうぞ」
例…本部⇔分団長・坂口から矢野間1分団長 「矢野間です、どうぞ」
伝達内容の通信
「-通信事項-」
例…1分団にあっては火点(延焼物)東側に移動し放水を継続願いたい
相手の内容を理解した時
「-通信事項-」を理解したとき
例…矢野間(または1分団)了解!
相手の内容が理解できない時
「-通信事項-」が理解できないとき
例…内容不明、さらにどうぞ?
緊急で呼び出す場合
至急! 至急!(自分)から(相手)。
例…至急! 至急! 坂口から矢野間1分団長
情報を一方通行で流す場合
通信相手を明示しないときは「各局」を使う。回申を求めるときはその旨を伝える。
○○から各局(傍受者全員)
例…坂口から各局。
聞き取れず再送を要求
内容途切れて不明、さらにどうぞ
無線の感度を相手に確認
メリットいかがですか?
メリット5 雑音が全くなく、非常に明快な通話ができる。
メリット4 雑音が多少あるが、十分明快に通話できる。
メリット3 雑音が多少あるが、割合容易に通話できる。
メリット2 雑音が多く、何回か繰り返して通話できる。
メリット1 雑音の中に、かすかに話らしきものが聞こえる程度。
メリットが悪い場合は場所を変えて再度送信します。
例→メリット○で受信、どうぞ
無線試験
〇〇〇から第〇分団各局、ただ今から第〇分団の無線試験を行います、本日は晴天なり、本日は晴天なり、各局はメリットを報告せよ
1機ずつ呼出、メリットの報告を求める

交信例①
山口2分団長から矢野間1分団長→矢野間(1分団長)ですどうぞ→2分団にあっては現在火点東側に部署、1分団より中継送水願いたい、どうぞ→矢野間(1分団長)了解!

交信例②
山口2分団長から矢野間1分団長→矢野間(1分団長)ですどうぞ→送水願いたい、どうぞ→矢野間(1分団長)了解!

交信例③(分団内)
矢野間から○○(機関員)→○○(機関員)ですどうぞ→送水開始(矢野間)→○○(機関員)了解!

誰がどの無線機を持って活動しているかしっかりと把握することで、的確な無線交信ができます。また、スムーズに無線交信するため、交信前に伝えたい内容を頭の中で整理しましょう。日常的な行事などでも無線機を活用し、少しでも多く無線交信を経験することが、習熟への近道です。

大規模災害時

(1) 団員の安全確保のための情報伝達手段として無線を有効に活用するものとする。

(2) 方面隊長は、各分団の活動状況、現場内の被災状況の把握及び指示の伝達のために分団長と無線通信を行うものとする。

点検

点検は、毎月1回以上、通信機能、機器外面の汚損状態、受信機つまみ、バッテリー・電池の充電状況等について確認するものとする。

(その他)

トランシーバー使用時は、被災者等のプライバシーに関する情報の取扱いに留意すること。

【特定小電力トランシーバー】 とは
400MHz 帯を使用し、近距離(100~500m)での音声通信を行うための無線機単3乾電池等で使用ができ、小型・軽量で携帯性に優れている。また、無線従事者の資格や免許・登録の申請も不要

特定省電力トランシーバーメーカー別チャンネル互換表